「遺言」の読み方

まず読み方から。

「ユイゴン」や、「イゴン」と読みます。
どちらも正しい読み方です。

法律的には「イゴン」と発音します。

ですから、法律関係の専門家は「イゴン」という人が多いですね。

世間的には「ユイゴン」という人が多いようです。

遺言って何?

自分が亡くなったとき、自分の財産を誰に渡すかを書いた書類です。

ですから、遺言って、財産に関する書類なんですね。

・この土地は○○に渡す。
・預貯金のうち○万円は□□に渡す。
・残りは、△△に渡す。

あと、残された人にメッセージを書くこともできます。
こんな感じです。

○○さん、いつも私のことを面倒を見てくれてありがとう。
とても感謝しています。
ですから、このような遺言を書きました。
他の人には渡す財産が少なくなりましたが、私の気持ちですので理解してください。
同じ家で一緒に育ってきた、きょうだいですから、いつまでも仲良くしていてくださいね。
それが母の気持ちです。

このようなメッセージは、残されると、感動的ですね。
私たちもホロリとします。

他には、

・お墓は誰が守るかとか
・実は子供がいて認知しますとか
・生命保険の受取人を変更するとか

なども書くことができるんですよ。
これらは、法律的に有効になります。
(お墓と法律が、関係しているところも面白いですね。)

とにかく、遺言の特徴は、「亡くなったら」どうするか。

亡くなるまでは、何もおきません。

ですから、亡くなるまでは何度でも書き直すことができます。

それから、自分の死を覚悟したときに書く「遺書」とは違いますので、お間違いなく。

遺言を書いたよ」って言うと、「親もとうとう書いてくれたか」という気持ちになりますが、
遺書を書いたよ」って言うと、「ちょっと待って、どうしたの?」という、非常に心配な気持ちになりますので。

遺言の書き方

主に2とおりあります。

1.公正証書で作る方法
2.自分で手書きする方法

1.公正証書で作る方法

「公正証書遺言」といいます。

公正証書遺言とは、公証人から作ってもらう遺言です。

遺言の内容(自分が亡き後、どの財産を誰に渡したいか)が決まったら、
公証人から文案を作ってもらいます。

遺言を作るときは、自分は実印
そして、遺言に関係ない2人からも押印(認め印でOK)が必要です。

ですから、けっこう厳格な段取りで作るんですね。

公正証書遺言のメリットは

・公証人という法律の専門家が関与して作るので、間違いがないこと
・作った遺言を公証役場で保管してくれること
・判断力さえしっかりしていれば、字が書けなくても作成できる

などをあげることができます。

デメリットは、

・公証人に費用がかかること
・作成が厳格なので、手間がかかること
・証人が2人必要なこと

など、でしょうか。

2.自分で手書きする方法

「自筆証書遺言」といいます。

自分の手書きで書く遺言です。

代筆はNGです。

全て手書き※で、

・どの財産を誰に渡したいか
・自分の氏名
・氏名の脇に押印(認め印でOK)
・書いた日付(日にちまでしっかり書く。「○年○月吉日」はNG)

※ 財産の一覧だけは、手書きでなくてもOKです。
 例えば、不動産は書くのが大変ですから、固定資産税の評価証明などのコピーをつけて対応できます。

を書けば、成立します。

自筆証書遺言のメリットは、

・思い立ったらすぐ書けること(内容によっては5分で書けます)
・証人が不要なこと
・費用がかからないこと

などがあげられます。

デメリットは、

・字が書けない人は作成できないこと
・専門家が関与しないので、書き方がまずく、無効になるこがあること
・保管をしっかりする必要があること
・死亡後に、検認※手続きが必要なこと

※ 簡単に言うと、裁判所でコピーをとる手続き(書き換え防止のため)。
 相続人全員で行う必要があります。
 法務局に遺言を保管する手続き(2020年7月スタート)をすると、この検認手続きが不要になります。

などをあげることができます。

公正証書と自筆証書 どちらがいい?

公正証書遺言も、自筆証書遺言も一長一短があります。

思い立ってすぐ書けるのが、自筆証書遺言の特徴ですし、
2人の証人を立てて、公証人というプロが関与してしっかり作るのが公正証書遺言の特徴です。

時間的にも余裕があり、しっかり作りたいなら公正証書遺言がおすすめです。

でも、何らかの事情で、
「取り急ぎ作っておきたい」というのなら、自筆証書遺言でもいいでしょう。

どちらも効力は変わりません。

避けて欲しいのは、
公正証書遺言をしっかり作ろう、でも今は大変だから後で落ち着いてから作ろう、というもの。

もし、作る前に万一のことがあったら、残された家族が大変な思いをするかもしれません。

それなら、とりあえず、自筆証書遺言でも作っておくのがまずはいいかもしれませんね。

後で落ち着いたら公正証書遺言を作り直してもいいのですから。

公正証書の遺言と、自筆の遺言 どちらが優先する?

公正証書の遺言だからエラく、自筆の遺言だかエラくない、
ということはありません。(笑)

どちらも効力は同じです。

2つの遺言がある場合、優先を決めるのは、「日付」

日付があとの方が優先します。

ですから、公正証書の遺言があっても、後の日付で自筆の遺言があれば、
自筆の遺言の方が優先します。

とにかく遺言は、日付が大事なんですね。

だから「○年○月吉日」はNGなのですね。

遺言は書き直しできる?

できます。
しかも何度でも。

先に述べたように、遺言は後の日付の方が優先します。

公正証書で作ったからといって書き直しができないわけではありません。

書き直したかったら、自筆でもいいので、書き直しましょう。

その際は、

・どの財産(特定できるように)を誰に渡したいかをしっかり書く
・自分の氏名
・氏名の脇に押印(認め印でOK)
・書いた日付(日にちまでしっかり書く。「○年○月吉日」はNG)

というポイントは忘れずに。